2009.06.02(火)現場の解体が始まった。
この計画の設計依頼は、昨年末。私の元サラリーマン時代の上司Tさんからの電話からはじまる。商業施設時代の私の恩師であるTさん。某丹青社で8年お世話になった。私が25歳から33歳くらいまで。その間バブル時代某マイカル本牧のプロジェクト。私はあるゾーン(ユーロバザール)の店舗企画設計者。今回の設計依頼者のHさん(わかりやすいように加納さんとでもしておこう)は、MD(マーチャンダイジング)企画とヨーロッパ現地の商品を買い付けの契約をしてくるバイヤー。私と加納さん二人でパリ〜ミラノを2週間ほど渡り歩いた。同じ釜のメシを2週間も食うといやおうなくすっぴんの人間でつきあうことになる。そんな20数年前の記憶がよみがえった。恩師Tさんからの電話はその加納さんが自宅のマンションリフォームを計画しているので実施設計をお願いしたいということだった。
●2008.12.30
元上司Tさんの事務所へいく。新宿。年末の押し迫る中、急ぐ。あわてた様子なので緊急事態かと胸躍る。概要を聞くと緊急でもない様子。今住んでいるマンションが売れたらプロジェクトが動き出すとのこと。1/50の平面案と概要を聞いて暮れの空いている首都高。葉山に戻る。
●2009.01.15
Tさんへの年賀状。加納さんの件いつでも出動オッケーと。Tさんからメール。売り出しマンション難航。そっかー。
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電話でTさんから初めて話を聞いたときから頭は回転していた。「マンション」+「リフォーム」。自分だったらどうするか。設計事務所を始めてここ15年。リノベーション(リフォーム)はほとんど経験無かった。ほとんど戸建ての設計。マンションリフォームは初めて。頭が回転する。大晦日からグルグル頭は回転していた。そのうち、勝手な妄想になってくる。建築家としては一番楽しい時間だ。この至福な時がやがて現実の経済活動に変わり、実務者としての職能が問われる時期がやってくる。それまでの至福な妄想時間が長ければ長いほど楽しみも長い。しかし、きちんと実を結んで欲しいと願う。のも。建築設計は経済活動故。致し方ないところ。頭を回転させながら吉報を待っていた。
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●2009.04.14
Tさんから突然電話。「加納さんのマンションが売れた。6月末が引き渡しらしい。それまでにきちんとやりきれるだろうか?あと、2ヶ月半しかない。大丈夫か?」「何とかなりますよ。なんとかしましょ。(どうしたらいいんだ?)」電話を切る。頭を回転させるが、経験がない。何とかなるさと思うも。何とかしなければとも思う。桃太郎が鬼退治にメンバーを募るように早速電話。
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